赤字ローカル線「再構築」議論、JR西以外は静観 知恵出す自治体も

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高橋豪 細沢礼輝
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 赤字ローカル線の再編議論に国が積極的に関わる制度ができ、協議を始めたいJR各社にとっては前進となる。ただ、議論の場である再構築協議会については、JR西日本以外は静観の構えだ。

 芸備線(広島、岡山県)の備後庄原―備中神代間について、JR西は再構築協の設置を近く要請する。同社はこれまでの沿線自治体との議論で「大量輸送機関としての鉄道の特性が十分に発揮できていない」と主張。自治体側はあくまで存廃問題を議題にはしない姿勢で、話し合いが平行線をたどったため、国の関与が必要と判断した。

 JR東日本は、1キロあたりの1日の平均利用者数(輸送密度)が2千人未満の線区が35路線66区間(2019年度)に上る。深沢祐二社長は「何かを立ち上げるとは考えていない」と話し、再構築協の設置には否定的だ。

 豪雨で一部不通となっている津軽線(青森県)と米坂線(山形、新潟県)、利用者の少ない久留里線(千葉県)の3区間については、県や沿線自治体と検討会を設けている。「地元との話し合いは、これまで通り検討会の場で進めていく」

 JR九州も「基本は地域が主体となって取り組む課題で、こちらが主導権をもつのは難しい」(幹部)。20年の豪雨で不通が続く肥薩線(熊本、宮崎、鹿児島県)でも、これまでの自治体との協議の枠組みを維持する考えだ。

JR各社が慎重な事情は

 16年に路線の約半分にあた…

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