インボイス導入、混乱の源流 「禍根残す」といわれた35年前の妥協

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松山尚幹

 消費税のインボイス(適格請求書)制度が10月1日から始まる。フリーランスなど小規模事業者を中心に不安や反対の声も根強いままだ。インボイス導入をめぐる混乱は、消費税導入直前の35年前から懸念されていた。当時の議論を振り返ると、制度的な「欠陥」を受け入れながらも、消費税導入を最優先した政治的な「妥協の産物」だったことが浮かぶ。

 「将来に禍根を残す」「途中から直すのは難しい。最初から伝票(インボイス)方式にした方がいい」。消費税導入の前年である1988年夏。政府税制調査会会長だった小倉武一氏は朝日新聞のインタビューにこう話していた。

 当時も学識者を中心とした政府税調と、与党である自民党の税調があった。政府税調はこの年の4月、2種類の新型間接税を提案する中間答申を出した。欧州で導入され、正確に税率と税額を記載するインボイスを使った伝票方式と、事業者の負担軽減のため、厳密さを求めない今の消費税につながる帳簿方式だ。

「大蔵省はしぶとい」

 政府税調内は元々インボイス…

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この記事を書いた人
松山尚幹
国際報道部
専門・関心分野
外交・安全保障、政局と政策、財政税制