独自

教授のアカハラすべて否定 大学の報告書から見える「社会とのずれ」

有料記事

中山直樹

 「アカハラに該当しない」「指導の範囲内」「判断は不可能」「指導は妥当」

 教授のアカデミックハラスメントを大学に訴えた女性に、大学側が示した調査報告書には、こんな文言が続いた。

 訴えたのは、山口大学医学部の女性講師。「講師のレベルでない」「英語が貧弱」との言葉や、無断で私物を廊下に出すなどの言動約20件をアカハラと訴えたが、大学側はすべてを「該当しない」と否定した。

 一方、労働基準監督署は大学とは違い、教授のパワハラを認定し、女性がうつ病になった原因だとして労災認定した。

 大学は女性の訴えにどう対応し、どうアカハラを否定したのか。朝日新聞が入手した同大のハラスメント防止・対策委員会の報告書を読み解くと――。

 女性の訴えに対応したのは、常設の対策委と、対策委が設置した調査委員会だ。山口大によると、両委員会とも全員が学内のメンバーという。

 調査委の調査をうけ、対策委がまとめた報告書には、「調査委は教授には聴取を行っていない」と書かれていた。

教授に聞き取りせず 報告書には「聴取するまでもない」

 その理由は、「調査委は教授…

この記事は有料記事です。残り1452文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
中山直樹
ネットワーク報道本部|都庁担当
専門・関心分野
人権問題、災害、人口減
  • commentatorHeader
    遠藤謙
    (エンジニア)
    2023年9月30日17時15分 投稿
    【視点】

    1つの言動がアカハラかどうかは当事者同士では判断することは難しく、客観的判断はその場にいない人が行うので、どうしても検証が困難な場合が多く、多くの人たちの主観的な考えが紐づいてしまう。 個人的な見解。 問題の1つはアカハラの客観的な指標

    …続きを読む