三鉄、「あまちゃん」効果で観光客増加も厳しい経営状況は続く

伊藤恵里奈
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 三陸鉄道岩手県宮古市)は26日、取締役会を開き、今年4月から8月までの営業概況と2023年度の決算見通しを発表した。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の再放送の影響もあり観光客が増加したものの、依然として厳しい経営状況が明らかになった。

 4~8月の乗車人員は28万1442人で、前年度同期より3・3%増。「あまちゃん」効果やいわて花巻空港発着の台北便の再開などで、インバウンドや国内の観光客が増加したことで、定期外の利用は18・6%増となった。一方で、少子化の影響で、定期利用は6・4%減の15万6321人となった。

 修繕費の値上がりや燃料費の高騰の影響により、今年度の経常損益は、過去最大の約7億1901万円の赤字になる見通し。県からの補助金などの特別利益を加えても、純損益は約3800万円の赤字になると見込む。石川義晃社長は「一層の経費節減につとめ、魅力的な企画列車の運行や観光客の誘致を図りたい。利用者の減少もありうるので、今のところ運賃の値上げは考えていない」と語った。

 「あまちゃん」の再放送は今月末で終わるが、ファンが資金を募り、今年4月から運行が始まったラッピング列車「三陸元気!GoGo号」は、来年度引き続き運行する予定だ。石川社長は「一度来た方々には三陸の良さを十分ご理解いただいたと思うので、リピーターとして来ていただきたい」と語った。(伊藤恵里奈)

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