第4回スーチー氏解放も選挙も当面ない 識者が見るミャンマーの今後と希望

有料記事見えない明日 ミャンマー クーデターが壊したもの

ヤンゴン=笠原真 福山亜希
[PR]

 国軍のクーデターから2年半が過ぎたミャンマーは泥沼の状態にある。武装蜂起した一部市民は武力闘争に突入し、国軍はそうした市民を「テロリスト」と糾弾し、弾圧を加えている。ミャンマー現代史に詳しい中西嘉宏・京都大学准教授に、現状と今後の展望を尋ねた。

【連載初回はこちら】禁忌の僧侶批判に数千の「いいね」 仏教国ミャンマーで揺らぐ信仰

 2021年のクーデターで全権を握った国軍による抑圧的な支配に終わりが見えないミャンマーでは、社会のさまざまな要素が壊れ始めています。それは信仰心、自然環境、仕事……と広範囲に及びます。識者に聞きました。

 ――国軍のクーデターから2年半が過ぎました。国軍に反発する市民の一部と少数民族武装勢力は国軍と武力闘争を続けています。

 国軍は総選挙を主導して国軍系政党に勝利させるというクーデター当初の目的に固執していますが、主に地方での紛争がおさまらず、選挙が実施できる状況ではありません。国際社会は、圧力をかける国々、関与を試みる国々、事実上追認する国々とに対応がわかれていて効果的な対応ができていません。

選挙は実施できない

 現状は国軍にとっても抵抗勢…

この記事は有料記事です。残り1783文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません