岸田政権、人権担当の補佐官が不在に 首相「公約」ポスト消滅の波紋
二階堂友紀
岸田文雄政権で新設された「国際人権問題担当」の首相補佐官が、2年足らずで不在となった。岸田首相が自民党総裁選で公約に掲げた「肝いりポスト」だった。日本外交のあり方が問われる深刻な人権課題が山積するなか、国際社会に誤ったメッセージになると懸念する声もある。
首相補佐官は内閣法で5人以内と定められ、重要政策について首相にアドバイスする。今回の内閣改造で任命されたのは、新任・留任あわせて5人。女性活躍や国土強靱(きょうじん)化の担当が維持された一方、「人権」はなくなった。岸田政権が衆院解散・総選挙を経て本格始動した2021年11月から、中谷元・元防衛相が務めてきたポストだ。
人権補佐官は、岸田首相が21年9月の総裁選で「香港の民主主義・ウイグルの人権問題に毅然(きぜん)と対応」(政策集)するとして新設を約束した。首相は22年1月の通常国会でも「同盟国・同志国と連携し、深刻な人権問題への対処にも、私の内閣で初めて任命した専任の補佐官と共に、しっかりと取り組む覚悟です」と述べていた。
補佐官不在「思い入れの薄さの表れ」
国際社会では「人権」が外交…