山武の土砂搬入地 水素イオン基準値超 市が第三者委を設置
大久保泰
千葉県山武市小松の市有地に計画以上の大量の土砂が搬入され、市条例の基準値を超える水素イオン濃度が検出された。市は22日、事実関係の実態把握や再発防止対策を求める第三者委員会を発足させ、調査を始めた。
市によると、土砂は業者が昨年3月から6月、約2万2千平方メートルの市有地に約5万5千立方メートル搬入した。地元住民から「工事の事前説明もなく、風が吹くと土砂が飛散して目やのどが痛む」と苦情が出ていたという。
市は今年7月、住民に一部の土砂を搬出すると説明。ところが、地質調査で水素イオン濃度が基準値を超すアルカリ性だったことが判明した。基準値を超えると重金属を計測できない可能性があるため市条例により搬出できず、市は8月から薬剤を散布し、飛散防止の処置を取っている。
この問題は市議会でも取り上げられ、市が計画していた搬入量(約3万3千立方メートル)を大幅に超えていたことや、業者との契約書がないことなども明らかになった。そのため、市は法律や地盤工学の専門家ら4人で構成する第三者委を発足。初会合で松下浩明市長は「踏み込んだ調査で報告書をまとめていただき、市民の信頼回復に努めていきたい」と述べた。
委員長の拝師(はいし)徳彦弁護士は「証拠資料が欠けているので関係者に話を聞いて事実関係を確かめたい。残土を巡る制度の在り方を見直す一つの事案にもなる」と話している。