2階の寝室で五つ年上の夫が寝入っている午前0時ごろ。中部地方で暮らす女性(48)は1階のリビングでペンを握る。
「きょうも1日寝てた」「日曜日、夫が仕事でいなくてうれしい」「生きててよかったって思えるのはいつ?」
A4の紙に向かって思いを率直に書き付ける。いま、そんな胸のうちを明かせるのは、夫でも、両親でも、友人でもない。週1回、定期的に通う精神科医だけだ。
「孤独・孤立はだれにでも生じうる」として、その対策を行政の責務とする法律が来春、施行されます。連載「わたしの孤独」では、独りぼっちの体験談からその解決の糸口を考えていきます。
20年近く前に発症したパニック障害に加え、5年前、うつ状態と診断された。これまでやってきた掃除・洗濯・炊事といった家事が一切できなくなった。
公務員の夫がするようになり、女性は1日をソファやベッドに横たわって過ごす。通院をのぞき、外出はほぼしない。
「事情を知らない人からみれば、私は専業主婦にしか見えない。でも、実際は誰とも交流せず、家にひきこもる日々。自分には生きる価値があるのかなって思います」
「家のことちゃんとできたら、働いていいよ」
結婚したのは、看護師として働いていた28歳の時だった。
周りがどんどん結婚していき、あせっていた。知人に紹介されたのが、公務員だった夫だった。交際から半年で結婚した。
結婚生活が暗転したのは、1…
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