「無罪」決め手の取り調べ映像公開なるか 大阪地裁が19日に判断へ
検事の悪質な取り調べの映像を、公の法廷で流すべきだ――。
罪に問われた末、無罪が確定した不動産会社の元社長が国に損害賠償を求めた裁判でそう訴えている。
映像は、自身の無罪判決の決め手ともなった。「検事の声のトーン、動作、表情など、悪質な取り調べの実態が市民に明らかにされる必要がある」
原告、被告双方と協議を重ねてきた大阪地裁が19日、元社長の訴えに結論を出す。
大阪市の不動産会社「プレサンスコーポレーション」の山岸忍元社長(60)は、学校法人の土地取引を巡り、大阪地検特捜部に業務上横領容疑で逮捕・起訴され、248日間勾留された。
2021年10月、大阪地裁が無罪を言い渡し、検察側は控訴を断念。翌年3月、国に7億7千万円の賠償を求めて提訴した。
民事訴訟で元社長側が国に証拠提出を求めたのは、大阪地検が持つ自身や元部下、取引先を取り調べた際の映像だ。計約200時間分あるという。
国側は取り調べのやり取りの一部を文字に起こした「反訳書」を証拠提出したが、元社長側は「正確に把握するには、映像が不可欠だ」と訴え、昨年12月、地裁に対し、国に提出命令を出すよう申し立てた。
元社長側の代理人によると、申し立て以降、非公開の協議などでやり取りが続いた。国側は「捜査の状況が広く開示されると、市民からの捜査協力を得にくくなるなど、大きな弊害がある」として提出を拒んだという。
議論が平行線をたどるなか、潮目が変わったのは今年3月だった。
札幌地裁で係争中の同種訴訟…