海外で先行の医薬品、日本人での「第1相」試験は原則不要に 厚労省
厚生労働省は、海外で開発が先行する医薬品について、国際共同治験の参加前に日本人での安全性を調べる「第1相試験」の実施を原則必要としない方針をまとめた。厚労省の有識者検討会が13日、新たな通知の発出を了承した。
医薬品の薬事承認を得るための臨床試験(治験)には3段階ある。主に第1相では少数の健康な人を対象に安全性、第2相は少数の患者で最適量や使い方、第3相は多数の患者で有効性や安全性を確認する。海外で開発が進み、第3相段階の国際共同治験に日本が参加する場合でも、日本人での安全性を確認するために第1相試験が必要とされてきた。
一方で、日本人を対象にした第1相試験の実施には、時間や費用がかかるため、日本での開発が遅れたり、海外企業が日本での開発を断念したりするケースがあった。欧米で承認された医薬品が日本では使えない「ドラッグ・ロス」の原因になっているとの指摘もあり、これを解消するため、第1相試験についての考え方を整理し、通知で改めて示す。
新たな通知案では、国際共同治験が始まる前の第1相試験について、「人種・民族や国・地域ごとの実施が必須ではない」とし、治験に参加する日本人被験者の安全上必要と認められる場合を除き、追加実施は必要ないとした。希少疾患や小児用など、医療上のニーズが高い医薬品を主に想定している。それ以外の医薬品でも、治験に参加する日本人の安全性が臨床的に認められる場合は、日本人の第1相試験を実施せずに国際共同治験に参加できるとする。
一方、国内の患者数が多く…