「陥没は人間関係も壊した」 進む立ち退き、実家がポツンと一軒家に

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平山亜理

 本州に台風が接近した金曜日、一人の男性が住み慣れた自宅を引っ越した。すぐ近所で予期せぬ陥没事故が起きて、まもなく3年。「実家がね、ポツンと一軒家になりました」。平地になった隣家に目をやり、男性がつぶやいた。

外環道のトンネル工事現場の真上で、東京都調布市の市道が陥没してまもなく3年。現地の住宅街では緩んだ地盤の補修工事が始まりましたが、住民の苦しみは続いています。

 8日、東京都調布市東つつじケ丘2丁目は大雨だった。住宅街にあった2階建ての我が家。40代の自営業の男性はここで、母親と2人で長年暮らしてきた。トラックで家財道具を運び出す。布団や冷蔵庫のほか、母の好きだった犬のぬいぐるみも荷物に入れた。

 引っ越し先は、千葉県内のワンルームマンション。作業を終えた自宅をまわり、「ありがとうございました」と心の中で礼を言った。別居する父親が権利を持つ自宅はこの後、地盤補修工事で取り壊されることになりそうだ。

測量すら応じなかった母 示された買い取り額

 2020年10月18日、住…

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