第2回被害者が口にする「感謝」の意味 ジャニー氏が仕掛けた巧妙な「罠」
「ユー、失礼じゃないの!?」
元ジャニーズJr.の長渡康二さん(40)は電話口から聞こえてきた声をはっきりと覚えている。淡々とした口調だったが、怒っているとすぐわかった。
ジャニーズ事務所に入って4年目の2000年の秋。翌朝のテレビの仕事のため、指定されたホテルに泊まった。
ジャニー喜多川氏から、マッサージと称してベッドに寝かされた。ジャニー氏からは入所直後に性被害を受け、距離を取っていた。ただ、行為を受け入れれば仕事がもらえるとも思っていた。自分は行為を受け入れられるのか。最後の決断をしようと決めていた。
パンツの中に手が入ってきた。嫌悪感に襲われ、ジャニー氏を押しのけた。パジャマのまま、部屋を飛び出した。スリッパで3~4時間歩いて自宅に帰った。電話はその後にかかってきた。
それから1カ月ほどレッスンに通ったが、仕事がくることはなかった。拒んだ先に待っていた冷遇。長渡さんはそのまま事務所を退所した。
「おかしな扱いだとは思ったけれど、周りのJr.たちは我慢していた。自分をふがいなく感じ、責めました」
「少なくとも数百人の被害者がいる」。そう言われるジャニー氏による性加害問題だが、被害を訴える声はこれまで、決して多くはなかった。
ジャニー喜多川氏の性加害問題について考える連載の2回目。被害にあった元ジャニーズJr.の口から語られた言葉から、被害を訴えづらかった理由について考えます。
声を上げた当事者たちは行為…
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- 【視点】
非常に参考になる記事でした。 ジャニーズ問題では、私自身もなぜかつての被害者の方が、一部かもしれませんが、「感謝している」と言えるのか、分からなかったのです。 3月にBBCで放送された番組では、加害者が被害者を「グルーミングして
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