井浦新が胸を張る命の物語、俳優力の映画 森達也監督「福田村事件」

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小原篤

 100年前の関東大震災発生から5日後、千葉県福田村(現・野田市)で行商団9人が朝鮮人と疑われ村人らに殺された。その事件を基にした劇映画「福田村事件」が公開中だ。傍観者であり目撃者となる主人公・澤田を演じた井浦新は「題材もメッセージも重い。でも『楽しんで下さい』と胸を張って言える映画です」と語る。

 朝鮮で日本軍による虐殺を目撃、教師を辞め妻静子(田中麗奈)と福田村に帰郷した澤田。不倫を理由に村人から指弾される川の渡守・倉蔵(東出昌大)。香川の被差別部落から来て薬を売り歩く行商団のリーダー新助(永山瑛太)。それぞれの日常は、「朝鮮人が集団で襲ってくる」といったうわさが巻き起こす村人の不安、恐怖、怒りの渦の中、最悪の形で交錯する。

 「日常をしっかり見せることで、虐殺するような人じゃない普通の人がなぜ?と考えさせる。被害者と加害者のどっちが善で悪で、といった描き方もしない。だからこそ、ことが起きてしまった時の空しさや苦しさが際立つと思う」

 オウム真理教信者を追った「…

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この記事を書いた人
小原篤
文化部|映画・アニメ・マンガ
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映画・アニメ・マンガ全般