「家族じゃないと言われた気がした」石綿給付金めぐり、遺族が国提訴

黒田早織
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 アスベスト(石綿)により中皮腫で死亡した兵庫県の男性(当時78)の義姉やめいらが6日、国に1430万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。国の給付金は受給対象を一部の親族に限っており、原告側は「受給対象者がいないことで国が賠償義務を免れるのは不当だ」と訴える。

 訴状によると、男性は1966~2006年ごろ電気工事に従事。アスベストが原因で中皮腫になり、20年に死亡した。

 男性は国が21年に作った「建設アスベスト給付金」の対象。妻子はおらず、兄が22年2月に受給のための手続きを始めたが、支給決定がなされないまま同年8月に病死した。兄の妻らは男性の相続人に当たるが、給付金の受給対象ではないため、給付金1300万円は誰も受け取れなかった。

 原告の代理人弁護士は6日に会見を開き「国が迅速に支給決定をしなかったために請求権者がいなくなった」と問題点を指摘。受け取りを配偶者や子、両親など一部の親族に限る現行制度の改善を求めた。

 めい(54)は会見で「請求が無効になり、私たちはおじの家族なのに『家族じゃない』と言われている気がした」と話した。(黒田早織)

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