被爆者面会、首相回答に憤り 「死に絶えるのを待っているのか」

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岡田真実 小川崇

 長崎の被爆者4団体の代表が30日、首相官邸を訪れ、国が指定する被爆地域の拡大などを求める要望書を岸田文雄首相に手渡した。8月9日に長崎市内で面会する予定だったが、台風の影響で延期されていた。従来通りの回答を繰り返す国の姿勢に、被爆者からは「死に絶えるのを待っているのではないか」と憤る声があがった。

 「一言、聞いていただきたいことがあります」

 長崎原爆被災者協議会(被災協)の田中重光会長(82)は30日、首相官邸で岸田文雄首相と向き合い、そう切り出した。台風の影響で延期していた、長崎の被爆者団体による首相面会の場。田中会長は今回、4団体でまとめた要望書を首相に手渡す役だった。

 田中さんが口にしたのは、国の指定地域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」の問題。被爆者団体などは、国の支援の対象区域の外で「黒い雨」を浴びた原告らを被爆者だと認めた広島高裁判決にならい、長崎の被爆体験者も救済するよう国に求めている。

 「長崎の被爆地域では為政者の判断によって法の下の平等がゆがめられています」。田中さんは岸田首相の目をまっすぐ見つめて続けた。「ぜひ総理の英断によって長崎の被爆地域の是正をお願いしたい」

 ただ、国は従来の立場を繰り…

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この記事を書いた人
小川崇
長崎総局
専門・関心分野
戦争・平和