住民参加の会合を10月開催へ 県と3市町、阿武隈急行のあり方巡り

中島嘉克
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 厳しい経営環境が続く阿武隈急行(本社・福島県伊達市)をめぐり、宮城県と県内の沿線3市町が29日、意見交換会を開き、住民を交えた会合を10月にも開くことを決めた。バス高速輸送システム(BRT)への転換などを含めた今後のあり方について、宮城側の意見を取りまとめる狙いだ。

 阿武隈急行線は、福島駅(福島市)と槻木駅(宮城県柴田町)を結ぶ54・9キロの鉄道路線。運営する阿武隈急行は第三セクターで、福島、宮城両県のほか沿線の自治体などが出資しているが、利用者数の減少や災害の影響で、2022年度には約6億円の営業損失を計上し、厳しい経営が続く。

 そのため、福島県側と宮城県側の自治体は今年3月、今後について話し合う「在り方検討会」を設置し、議論をはじめた。

 この日の意見交換会は、「宮城側が一枚岩にならなければ状況の改善にならない」(村井嘉浩知事)として、村井知事と角田、柴田、丸森の3市町長が出席して開かれた。

 「厳しい経営状況を改善するための方策を住民と一緒に丁寧に議論したい」(黒須貫・角田市長)、「今のままでは今後自治体の負担が増えていくことが明白。時間をかけずに早急に道筋を立てていく必要がある」(滝口茂・柴田町長)といった意見が出され、10月をめどに住民が参加する会合を新たに設置することで一致した。

 終了後、村井知事は「経営状況を見ると、福島側は比較的良いが、宮城側が非常に悪い。われわれが早く方向性を出さなければ、足を引っ張ることになる」として、できるだけ早く宮城側の意見をまとめる考えを示した。(中島嘉克)

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