空き家の解体、「代執行に頼らずとも」 自治体職員が直面する現実

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臼井昭仁

 放置されて危険な空き家を自治体が解体・撤去に踏み切る代執行が各地で相次いでいる。人口減時代を迎えた今、さらに増えると見込まれる。ただ自治体にとって、代執行に至るまでの手続きや費用回収に「年単位」の時間がかかることが悩みの種となっている。

 7月、愛知県半田市亀崎町3丁目の空き家の前に市職員らが集まった。木造2階建てで、雨どいは外れ、壁は外側に膨らみ、玄関の周囲にはごみも散乱していた。市建築課長が行政代執行の宣言文を読み上げると、作業員らが中へ入っていき、解体を始めた。

 市によると、家の広さは238平方メートルで、1970年代以前の建物だという。「壊れていて危ない」といった対応を求める声が市に寄せられていた。

「特定空き家」の解体まで4年

 倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家を自治体が取り壊すことができる「空き家対策特別措置法」が2015年に施行された。半田市は19年、この民家を「特定空き家」に認定。相続人の所有者に対して、適切な管理など是正を求めて、法令に基づく指導、勧告、さらに命令を出したが従わなかった。

 そして今回、所有者に代わって市が強制的に解体する代執行に踏み切った。市は19年に、ほかに4戸を特定空き家に認定したが、他はいずれも所有者自らが解体したという。

 今回の民家の解体にかかる費用は444万円で、所有者に請求する。支払われない場合は財産の差し押さえといった手段をとる方針だ。

 市の調査で市内には現在、7…

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この記事を書いた人
臼井昭仁
半田支局長
専門・関心分野
農林水産業、運輸、過疎問題