薬物問題に揺れる日大アメフト部 「個人の犯罪」分かれた判断と責任

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榊原一生

 学生界で屈指の伝統と実績を誇る日本大学アメリカンフットボール部が、薬物問題をめぐる不祥事に揺れている。試合出場のめどは立たず、部の存続さえも危ぶまれる事態だ。

 局面が動いたのは8月22日、警視庁が3日に続き、アメフト部の学生寮を家宅捜索した。大麻と覚醒剤を所持していたとしてすでに逮捕された部員のほかに、複数の部員が所持していた疑いがある。今後の捜査で複数人の関与が明らかになれば、部の存続問題にも発展しかねない。日大側が「部員1名による個人犯罪」と断定した、その前提が覆ることになるからだ。

 部員の逮捕後、日大は関東学生アメフト連盟にリーグ戦出場の意思を示し、アメフト部に5日に科した無期限の活動停止処分をわずか5日後に解除した。判断の根拠としたのが、個人犯罪だった。「競技に真剣に取り組んできた多くの学生の努力を無に帰することになる」とし、部全体に連帯責任は負わせなかった。

 大麻は「ゲートウェー・ドラ…

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    吉川ばんび
    (作家・コラムニスト)
    2023年8月29日1時9分 投稿
    【視点】

    部員が大麻を使用していた事実を大学側が12日間も伏せていたことは、誰にとっても悪手だったとしか言えないと思います。信用の毀損だけでなく、リーグ戦出場権をも失うなど、大学としても部としても失ったものはあまりにも大きい。また、逮捕された部員の供

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2023年8月28日21時55分 投稿
    【視点】

    スポーツを巡る不祥事や事故について、まだ明らかになっていない段階で告発や情報が入り、学校やクラブの責任者や指導者に取材に行く時があります。  そんな時によくある対応が、「誰から聞いたのか?」という〝犯人捜し〟とともに、明確には否定しないも

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