都市の火災リスク 専門家「100年前から大きくは改善していない」
首都・東京が大きな被害を受けた関東大震災は、死者約10万5千人のうち、9割近くが火災で亡くなった。100年前と比べ、大都市はどれだけ火災に強くなったのか。大惨事を繰り返さないためには何が必要なのか。
「世間が思っているより、関東大震災当時から都市の燃え方も火災リスクも大きくは改善していない」
東京大先端科学技術研究センターの廣井悠教授(都市防災)はこう指摘する。
火災リスクは①出火②延焼③消防④避難の四つから分析できるが、いずれも根本的に改善しているとは言えないからだ。
まずは出火。住宅からの出火率は、100年前の10分の1ほどに減っている可能性がある。関東大震災の東京市の出火件数は1万世帯あたり2・77件だったのに対し、2011年の東日本大震災で震度6強以上だった地域は津波火災を除くと0・44件だった。強い揺れの時に自動的にガスを止めるマイコンメーターの普及などが背景にある。
ただ、都市の拡大で出火件数自体は増える可能性がある。
中高層ビルからの出火という新たなリスクも生じた。東日本大震災では、津波火災を除くと、火災があった建物のうち約4割が4階建て以上だった。地震の揺れで高層階のスプリンクラーが使えない懸念もある。
延焼の観点では、燃えやすい木造密集市街地が今も多く残っている。建築材の改良などによって延焼速度は関東大震災当時の2分の1から3分の2ほどに減っているとみられるが、廣井さんは「避難時間は稼げるが、消防が来なければ、燃え広がることに変わりはない」とみる。
さらに、延焼を遮ることが想…
- 【視点】
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