第6回銃、性的指向…子どものSNS監視 安全かプライバシーか、米で議論

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 AI(人工知能)を使った学習履歴などのデータ活用が、学校現場で進んでいます。先行する米国の事例を共同研究する滋賀大の藤村祐子准教授と福岡大の佐藤仁教授は、米国の状況が「日本における課題を先取りしたものだ」と言います。米国の現状を2人に聞きました。

 ――日本の教育データ活用の現状をどう見ていますか。

【藤村】日本の学校におけるデータ活用は、世界に比べて遅れていると言われてきました。例えば、経済協力開発機構(OECD)が2018年に実施した中学校教員への調査では、デジタル技術を使った学習支援について、「非常によくできている」または「よくできている」と回答した教員の割合は、日本で35%。参加48カ国の平均の半分弱にとどまりました。

 ただ、コロナ禍で状況は大きく変わりました。オンライン授業が広がり、文部科学省の「GIGAスクール構想」による1人に1台の端末が前倒しで配備されたことで、授業だけでなく、行事などの活動でもデジタル教材の活用が進められました。

 ――米国ではどのような活用がされていますか。

【藤村】米国では教育行政の権限は州にあります。どの学年で何を習うかは各州が基準を設けてきました。地域間の学力格差が問題になると、連邦政府が全米規模の対策に乗り出し、02年には「落ちこぼれ防止法」が施行され、学力テストが義務付けられました。このテストの点数を上げるために、生活状況も含めた情報を集めて活用することで学力格差を縮めようとしてきました。

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 ――学力格差を縮めることは良さそうですが、どのような問題が起きているのですか。

【藤村】例えば、学力テストの…

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