第2回「AI教師」にリスク、「個別最適」は最適か 広がる教育データ活用
子どもについてのデータの活用が進んでいます。一人一人に合わせた学びや支援ができる一方、多くの個人情報を扱うことから、プライバシーなどへの懸念があります。憲法学が専門の岡山大の堀口悟郎准教授に、教育データの活用における注意点を聞きました。
――教育データの活用には利点も多そうです。データ活用についてどう考えていますか。
賛成か反対かと聞かれたら、賛成です。教育データの活用が従来の教育における問題をすべて解決することはありませんが、その一部は改善する可能性があると思います。
ただ、今後活用が本格化することが見込まれる中で、その倫理的・法的・社会的課題(英文の頭文字を取ってELSI)を十分に意識して議論がされているとは言えません。
――どんな点が不十分なのでしょうか。
まず、個人情報の取り扱いが、各情報の性質を十分に踏まえたものになっているかという点です。個人情報保護法上は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴などが「要配慮個人情報」とされ、特に慎重な取り扱いが求められていますが、憲法学ではより広く、各情報の秘匿性・機微性の程度に応じた取り扱いが必要だと考えられています。
例えば、健康観察記録や保健室の利用状況などは、個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当しないとしても、相当にセンシティブな情報だといえます。こうした情報は、活用の効果とリスクのバランスを考慮し、そもそも扱わないという選択肢もあり得るでしょう。
「日本の学校教育、プライバシー権の問題生じやすい」
――センシティブな情報でなければ、自由に扱って良いのですか。
名前や住所、学籍番号などの…