言葉が映すウクライナ侵攻 ロバート・キャンベルさんが目にした現実
新屋絵理
日本文学研究者のロバート・キャンベルさんが、ウクライナの人々の戦争にまつわる証言を集めた本の日本語翻訳に取り組んでいる。キャンベルさんは今年6月、実際にウクライナを訪れ、編著者や証言した本人らに面会した。戦争は人々の生活にどんな影を落とすのか。キャンベルさんが、ロシアからの侵攻を受けるウクライナで目にしたのは――。
爆発音と重なる幸せな記憶
キャンベルさんが翻訳しているのは、ウクライナの詩人オスタップ・スリビンスキーさんがまとめた避難した人たちの証言集「戦争語彙(ごい)集」だ。「星」「ココア」「カナリア」……。ウクライナ語で、日常感がにじむ言葉をタイトルにした、散文詩のような短い独白が収められている。
キャンベルさんは昨年、こういった作品の英語訳がネットで公開されていたのを見つけ、胸を打たれた。
「リンゴ」というタイトルの証言では、ある女性がまどろみながら聞く爆発音が、かつて恋人と過ごした幸せな記憶と重なっていく。
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