「AI使うから報酬安く」フリーライターに突然の要求、違法の恐れも

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高田正幸

 AI(人工知能)でもできる仕事だから報酬を安くして――。文章や画像を自動的に作り出す「生成AI」の登場を理由に、依頼主がフリーライターにこんな要求をするケースがあった。「仕事を奪う」とも言われる生成AIの登場は、フリーランスなどの働き手にどんな影響を及ぼすのだろうか。

 「ChatGPT(チャットGPT)を使うから、報酬を半減して欲しい」。今年に入って取引先だったウェブ会社からメールでこんな要請を受けたのは、フリーランスのライターとして活動している40代の女性だ。

 医療機関のウェブサイトに掲載する文章の執筆をこの会社から請け負っていた。メールはこれまで1文字あたり2円だった報酬を、1文字あたり1円にしてもらえないかという内容だった。

仕事は同じ、報酬は半減に「まさか」

 「チャットGPTである程度文章が作成できるようになった」「あなたより安い値段で引き受けている人がいる」と、相手方は理由をあげたという。

 ただ、女性が依頼された仕事…

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この記事を書いた人
高田正幸
台北支局長兼香港支局長
専門・関心分野
台湾、香港、中国、反社会的勢力
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    磯野真穂
    (東京工業大学教授=応用人類学)
    2023年8月10日21時52分 投稿
    【視点】

    「AI使うから報酬安く」も恐ろしいですが、より根本的な問題は、フリーライターの報酬が安すぎることだと思います。 物価高等の影響による報酬アップが複数の業種でようやく見られていますが、ライターの報酬アップは聞いたことがありません。その上さら

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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2023年8月11日10時18分 投稿
    【視点】

    過去に蓄積された情報から記事を作成するChatGPTには書けない、これまでにない視点や証拠によって作成されるライターさんの記事には、むしろこれまでより高額の報酬が支払われるというのが正しい循環だと思います。ただそれをきちんと評価する能力を持

    …続きを読む