小さな撮り鉄、撮影のコツとマナー習ったよ 小田急が相模大野で企画

三木一哉
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 【神奈川】電車好きの子どもたちが、鉄道写真の撮り方とマナーを学ぶ教室が5日、相模原市南区の小田急相模大野駅近辺で開かれた。講師は小田急電鉄の社員。子どもや保護者ら約80人が参加して、電車との付き合い方について学んだ。

 鉄道写真教室は夏休みに小田急が開いている催し「夏休みキッズチャレンジ2023」の一つ。子どもたちに安全に、正しいマナーで、電車と付き合ってほしいと企画した。

 鉄道写真が趣味の「撮り鉄」が鉄道施設内に無断で立ち入ったり、撮影のために沿線の私有地で樹木を勝手に切ったりと、各地でトラブルが起きている。小田急沿線でも近年、回送列車を撮影しようと、深夜の駅に無断で立ち入ったり、線路敷地内に入って勝手に雑草を刈り取ったりと、撮り鉄によるトラブルがあったという。

 講師を務めた中津川恭平さんは、撮影時のルールとして、「運転の妨げになるのでフラッシュを使わない」「危ないので立ち入り禁止の所に入らない」「ルールを守らない人をまねしないで」などと訴えた。また、駆け込み乗車をしない、点字ブロックの外側を歩かない、乗車したら戸口に立たずに中へ進むなど、電車の乗り方のマナーも教えた。

 続いて撮影のコツについての講義。構図を考えて、電車の先頭をなるべく端に持っていくことや、少ししゃがんでアングルを変えてみること、少し引いて背景の風景やビルを一緒に入れてみることなどをアドバイスした。

 中津川さんは「本来、撮り鉄は小田急のファンであり、いい作品を公表してくれることで、沿線や車両の魅力をPRしてくれる、我々としては喜ぶべき存在。ごく一部の人のマナー違反で、鉄道写真が否定的に見られてしまうのは残念」と語る。「子どもの頃からよいマナーを身につけてもらい、将来はファンの模範的存在になってもらえたら」と企画の狙いを話す。

 勉強の後は、お楽しみの撮影会だ。場所は駅近くの小田急電鉄大野電車区・車掌区の事務所敷地や事務所の屋上。ふだんは社員しか入れない場所で、簡単な柵のすぐ向こうを列車が走る。

 「あっ、ロマンスカーが来たっ」

 子どもたちは、さっそくローアングルから見上げて、特急用のロマンスカーや新型車両の姿をカメラに収めていた。

 綾瀬市から参加した小学5年の岡村俊佑さん(10)は幼稚園児の頃から電車が大好きで、この2、3年は小田急の車両がお気に入り。「乗り方や撮り方のマナーも勉強できた。今日はふだん入れない場所ですごく迫力のある写真が撮れた」と喜んでいた。

 参加した保護者は「電車に近づくことは危険を伴う。子どもが安全に楽しむ方法を教えていただいてよかった」「こんな近くで走る電車を見られて、親子でいい思い出になりました」と話していた。

 参加者の「作品」は19日から31日まで、相模大野ステーションスクエア5階で展示する。(三木一哉)

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