初の国際サイバー捜査、インドネシア人逮捕 世界的詐欺ツールを使用

 クレジットカードの不正利用で大阪府警がインドネシア人を逮捕した事件をもとに、警察庁とインドネシア国家警察が国際共同捜査を行い、同国警察が7月、共犯などとして在インドネシアのデア・カリスナ容疑者(40)を逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。警察庁が他国との本格的なサイバー共同捜査で容疑者摘発に至った初のケースという。

 大阪府警は2022年8月、神奈川県在住のインドネシア人の男(39)を私電磁的記録不正作出・同供用などの容疑で逮捕した。19年10月に他人のクレジットカード情報を使ってネットショップでパソコン1台(約19万円相当)を購入したなどとされ、執行猶予付きの有罪判決を受けた。男は転売役だった。

 捜査の過程で、逮捕容疑となったパソコンの不正購入に、デア容疑者が関与した疑いが浮上。同容疑者は偽サイトに誘導する「フィッシング」の手口で他人のクレジットカードの情報を盗み、その情報が不正購入に使われていた疑いが判明したという。

ICPOから要請、インドネシア警察と共同捜査

 警察庁は国際刑事警察機構(ICPO)から関連情報の提供要請を受け、21年秋ごろからインドネシア警察と共同捜査を開始。22年4月に警察庁サイバー特別捜査隊が発足した後、インドネシアとの連携を本格化させた。23年4月には、サイバー特捜隊と大阪府警の初の合同捜査本部を設置。同年7月にインドネシアの捜査官が来日し、日本警察を通じて神奈川在住の男や被害者から事情を聴くなどし、同国警察が7月9日、デア容疑者を逮捕した。

 捜査関係者によると、2人が関わった同様の手口による国内の被害は他にも確認され、被害額は計約1500万円になるとみられる。主にデア容疑者が商品を不正に購入し、神奈川在住の男らが商品を転売して現金化し、インドネシアに送金していたという。

 デア容疑者はフィッシングに「16SHOP」と呼ばれるツールを購入し、使っていた。16SHOPによる被害は世界中に及び、ICPOが主導した国際共同捜査が展開されてきた。今回の日本とインドネシアの捜査もその一環という…

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