初当選から5年、政治資金収支報告書出さず 甲賀市長「完璧に失念」

林利香
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 滋賀県甲賀市の岩永裕貴市長が代表を務める政治団体が、毎年提出が義務付けられている政治資金収支報告書を2016年から5年間提出していないことが分かった。未提出により政治団体の法的資格を失う「みなし解散」となって以降も、禁止されている寄付の受け取りや経費の支出を行っていた。

 26日に記者会見した岩永市長によると、提出していなかったのは、市長が代表を務める政治団体「岩永ひろき後援会」と、自民党の小河文人県議が代表を務める政治団体「みんなの甲賀」。岩永市長が初当選した16年から20年までの収支報告書を提出していなかったという。

 両団体は、岩永市長の選挙事務所の男性スタッフが会計責任者を務めていた。民間企業に勤めながら1人で会計処理を手伝っていたという。

 未提出の理由について岩永市長は「市長1年目で市政運営に回らせていただいていた。報告書の提出を私自身確認せず、完璧に失念してしまっていた。申し訳ありませんでした」と説明し、謝罪した。男性スタッフは「企業で働き出し、失念してしまった。収支報告書の提出を軽く見てしまっていた」と話した。

 報告書を2年連続で提出しなければ、政治資金規正法の規定により「みなし解散」となる。18年にみなし解散が適用され、政治活動のための寄付や支出が同法違反となるが、後援会は20年の市長選で約50万円の寄付を受け取っていた。

 男性スタッフが20年の市長選後に未提出だったことに気付き、県選管に未提出分を提出した際、みなし解散状態になっていたことを知ったという。岩永市長は「なにかを意図的に隠そうという理由ではなく、ずさんな対応をしてしまった」と釈明した。(林利香)

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