「1回で宝塚に受かると思わずに」遠野あすかさんが説くリピート受験

【連載】すみれの花はぐくんで 宝塚音楽学校110年

 黒いレオタード姿の女子たちがひとり一人立ち、声をはりあげる。東京・銀座のビルの一室で宝塚音楽学校1次試験の面接レッスンが始まった。

 番号、年齢、身長、体重、出身地に学校名。それだけをはきはき言い、「右向いて下さい」といった指示に従って全身の立ち姿を見せる。

 「首が前に出ているよ。ひっこめてみて」

 「筋肉をつけるような食事しようか」

 鏡の前に座り、それぞれにこまかいアドバイスをするスクール主宰者、遠野(とおの)あすかさん。抜群の歌唱力でファンを魅了した元宝塚歌劇団星組トップ娘役である。

 宝塚受験スクール「Classy Lessons(クラレス)」は2013年の夏、イベントレッスンからスタートした。銀座に教室を構えたのは19年。アクセスがよく、安全に通えるところにと1年以上かけて場所を探した。

 平日も開いているが、受験を目指す子たち向けに土日、面接やバレエ、声楽を終日教える。取材に行った日、来ていた生徒は20人ほどで少なめだというが、北海道や九州から泊まりがけで通う人もいる。夏季講習は海外から帰国して受講する人も。それぞれのニーズにこたえられるよう、個人レッスンなど多彩なコースを設けている。

 「将来の夢はユーチューバー、エンタメの選択肢も多岐にわたる。昔とは違う時代になって、その中で宝塚を選ぶ生徒は相当強い気持ちがあって、芯がある。根性あります。最近の子には珍しい気質ではないでしょうか」

受験期が女性の成長期と重なり、指導は技術的にも体形管理にも難しさがあるといいます。その中で遠野さんが「10代の魔法」と呼ぶ成長とは。

 宝塚音楽学校の受験チャンス…

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この記事を書いた人
河合真美江
文化部|宝塚歌劇・文芸担当
専門・関心分野
女性の生き方、宝塚歌劇、グリーフケア