マイナ保険証、便利なの? 情報閲覧に1カ月半も 医師「中途半端」
マイナンバーカードと保険証を一体化した「マイナ保険証」に移行すれば、データに基づく質の高い医療を受けられる――。政府はこうメリットを強調するが、現場の医師からは「現実は、なかなかメリットを享受しにくい」との声もあがっている。どうしてなのか。
昔や最近の診療実績は確認できない
マイナ保険証をめぐり、岸田文雄首相は国会や記者会見で「質の高い医療、効率的で持続可能な医療を実現していくためには、現行の保険証を廃止し、ICチップ付きの新たな保険証に移行する必要がある」と繰り返してきた。
具体的なメリットとは何なのか。厚生労働省は、活用することで過去に受けた診療実績や薬の処方、受診歴が確認できると説明する。
たとえば、マイナ保険証で受診した患者が医療機関で同意すれば、「A病院で●月▲日」「B錠剤を■錠×日分」「肺血栓塞栓(そくせん)症予防管理料」といった情報が医師らに共有される。
同じ薬を出す「重複投薬」を防げるほか、初めてかかる病院でも「記憶」ではなく「記録」に基づいて医師が患者の情報を把握できる。マイナンバーカードの専用サイト「マイナポータル」では、患者が自分の健康状態を確認するのにも役立つという。
しかし、現場の医師には懐疑的な見方もある。
「ドクターケンクリニック」(千葉市)の中村健一院長は「閲覧できる情報は中途半端で活用が難しい」と話す。
というのも、医師らが薬の処方歴などを閲覧できるまで時間がかかるためだ。マイナ保険証の医療情報は、診療報酬明細書(レセプト)という医療費の請求データがもとになっている。厚労省によると、レセプトがマイナ保険証のデータとして反映されるのは、診療を受けた月の翌月11日以降。閲覧可能となるまで、長いと約1カ月半かかることもあるという。
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