「君たちはどう生きるか」に込めた宮崎駿の暗号(小原篤のアニマゲ丼)

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 「規格外のものがドバーン!と来るかと思ったら、意外やファンタジーとして型通りの『行きて帰りし物語』だったね」

 「お、公開中の宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』の話ですね。不満そうだけど?」

 「次から次へ異世界の扉が開いてイメージの奔流が――というのは楽しいんだけど、『千と千尋の神隠し』の不思議の町も『ハウルの動く城』の魔法の世界も『風立ちぬ』の夢と煉獄(れんごく)もさんざ見てきたワケだから既視感がある。『崖の上のポニョ』で魚の大波に乗ってやって来るポニョみたいなとんでもないシーンで宮崎さんは私たちを驚かせてくれたけど、今回はそれほどのものがなかった」

 「トシですかね?」

 「さあ? 大人の女性キャラの色気とか、主人公の父のハナにつく『男らしさ』なんかは『若さ』を感じたけど。トシヨリの描写の面白さは、82歳という年齢ならではなのかな。その代わりヒロインはアッサリしてたね、出番も遅かったし。あ、フェティシズムは健在だ。主人公の体に何百匹ものヒキガエルがベッタリ張り付くところなんかもう変態の極み――」

 「ゲフン、ゲフン。どうせネ…

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