第11回現役局長に、空港施設社の社長まで キーマン次々「退場」の舞台裏
通常国会が閉会した5日後のことだった。
国土交通省は6月26日、幹部職員の懲戒処分(戒告)を発表した。
利害関係のある事業者らとの会食で飲食の提供を受け、国家公務員倫理規程に違反した――。
そう認定されたのは航空局長を務めていた久保田雅晴氏だった。
会食にはその事業者のほかに、同席者がいた。
上場企業に省OBの社長就任を要求したことが問題となった元国交事務次官の本田勝氏(70)だ。
会食の事実は5月中旬に月刊誌「FACTA」が報じた。
開催日は、本田氏による人事介入問題を朝日新聞が3月30日に報じる2日前の3月28日。
朝日新聞はその数日前までに、本田氏への直接取材を終えていた。
会食で人事介入問題についての「口裏合わせ」が行われたのではないか。
国会ではそんな追及の声が上がった。それぞれの支払いについて問われた斉藤鉄夫国交相は「会費は(久保田氏が)払ったと報告を受けた」と説明した。
にもかかわらず、最終的には、利害関係者からの接待や物品の贈与を禁止する倫理規程違反があったと認定された。
久保田氏が支払った会費は8千円で、実際にかかった費用は1人あたり1万9085円だった。差額は会食に参加していた事業者側が負担していた。久保田氏は1080円の土産も事業者側から受け取っていた。
処分発表の翌日、国交省の人事が発表された。官僚トップである事務次官をはじめとする主要幹部の多くが入れ替わる年に1度の大型人事だ。
久保田氏は「辞職」だった。
「エリート」としてさらなる出世が確実視されてきた久保田氏の辞職に、省内には衝撃が走った。「一連の問題の責任をとる辞職だ」と複数の省幹部が取材に漏らした。
現役の省幹部のひとりが匿名を条件に取材に本音を明かした。
国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に迫るA-stories「令和の天下り」の11回目。東京メトロの会長だった元事務次官、その元次官と会食をしていた現役航空局長が次々と「退場」していきました。さらに空港施設社の社長の「解任」まで。それぞれの舞台裏です。
「久保田局長からの聞き取り…