山下達郎さん「尊敬の念、今も変わらず」 ラジオでジャニー氏に言及
ミュージシャンの山下達郎さんが9日午後、ラジオ番組で、ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏による性加害問題について言及した。山下さんは、「性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許しがたいこと」とした上で、「数々の才能あるタレントさんを輩出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は、今も変わっていません」などとジャニー氏への敬意を示した。
番組は、山下さんがパーソナリティーを務める「山下達郎の楽天カード サンデー・ソングブック」(TOKYO FM系)。
山下さんは1970年代末にジャニー氏とつながり、近藤真彦さんの「ハイティーン・ブギ」を手がけたほか、KinKi Kids、少年隊、木村拓哉、嵐など、今に至るまでジャニーズのタレントに数多くの楽曲を提供している。
山下さんは今回の性加害問題に関しては、「今回の一連の報道が始まるまでは漠然としたうわさでしかなかった」などと説明。「(当時の)ビジネスパートナーが、ジャニーズの業務を兼務していましたけれど、マネジャーでもある彼が一タレントである私にそのような内情を伝えることはありませんでした」とも語った。
その上で、性加害が本当にあったとすれば許しがたいとし、「被害者の方々の苦しみを思えば第三者委員会等での事実関係の調査というのは必須であると考えます」と見解を述べた。
一方でジャニー氏に対しては、「ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが、戦後の日本でどれだけの人の心をあたため、幸せにし、夢を与えてきたか。私にとっては素晴らしいタレントさんたちやミュージシャンたちとのご縁をいただいて、時代を超えて長く歌い継いでもらえる作品をつくれたこと、そのような機会を与えていただいたことに心から恩義を感じています」とも語った。
また、「私が一個人、一ミュージシャンとしてジャニーさんへのご恩を忘れないことや、それからジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと、社会的、倫理的な意味での性加害を容認することとは全くの別問題だと考えております」と語り、「作品に罪はありませんし、タレントさんたちも同様です」と説明。「彼ら(ジャニーズタレント)の才能を引き出し、よい楽曲をともにつくることこそが私の本分だと思ってやってまいりました。このような私の姿勢を、忖度(そんたく)あるいは長いものに巻かれているとそのように解釈されるのであればそれでもかまいません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」とも付け加えた。
今回の声明は、山下さんが所属する音楽プロダクション「スマイルカンパニー(SC)」と長年業務提携してきた音楽プロデューサーの松尾潔さんが、性加害問題で揺れるジャニーズ事務所に対しラジオで苦言を呈したことで契約解除となり、山下さんや山下さんの妻でSC所属の竹内まりやさんもその方針に賛成したなどと、ツイッターや夕刊紙で明らかにし、ネット上で話題になっていたことを踏まえてのもの。
山下さんは、ラジオでこの問題についても触れ、「松尾氏との契約終了については、事務所の社長の判断に委ねる形で行われました。松尾氏と私は直接何も話をしておりませんし、私が社長に対して契約を終了するよう促したわけでもありません」と説明。「松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して、臆測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因であったことは認めますけれど、理由はけしてそれだけではありません」とも話した。
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