第3回男性目線の「かわいい」脱却を 見下ろす撮影がNGな欧州サッカー
撮影のために部屋に入ると、15人ほどのスタッフが待っていた。
今年1月、イングランドの名門リバプールに入団した日本女子代表(なでしこジャパン)の長野風花(24)は、プロモーションに対するクラブの力の入れ方に驚いたという。
「フウカ、こっちを見て」
「次はゆっくりとソックスを上げて」
照明やカメラの角度を変えながら、様々なカットの写真や動画が撮影される。
「Welcome to the Reds(リバプールの愛称),Fuka Nagano」
公式ツイッターなどのSNSにアップされた入団PRの動画は、わずか15秒。それでも「こんな格好いい映像にしてくれるんだと思ったし、選手へのリスペクトを感じた」と長野は振り返る。
やはりイングランドの名門アーセナルやトットナムでプレーした元日本代表の岩渕真奈(30)も、同じ思いを抱いた。
「(宣伝にかける)スタッフの人数が多い。海外のビッグクラブは、お金のかけ方が違う」
クラブの公式インスタグラムのフォロワー数をみると、日本のWEリーグのクラブなら多くても1万人台。トットナム女子は42万人、リバプール女子は155万人を超えた。男子が世界的なビッグクラブである影響力も生かし、発信を続けている。
WEリーグの初代チェア(代表理事)を務めた米国在住の岡島喜久子(65)は言う。
「日本の女子サッカーは、これまで男性目線による『かわいい』とか、ファンとの距離が近い、というのが注目点だった」
「欧米では、女性から見ても…
- 【視点】
ジェンダー平等への意識の高まりを背景に、投資対象としての価値を増す米国のプロリーグ。欧州では、男子のビッグクラブが女子にリソースを割く流れが加速しています。まだ産声を上げて2年のWEリーグは、どこをめざすべきなのか。WEリーグ国際アドバイザ
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