つくばエクスプレスが「エクスプレス」なわけ 超ロングレールも

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 吉本興業鉄道好きユーチューバー鈴川絢子です。12回目の今回は、東京―茨城の1都3県を結ぶ「つくばエクスプレス」です。高速運転の秘密に迫ります。

鈴川絢子さんの「ちば鉄」連載 過去記事はこちらから

東京都の秋葉原から、茨城県のつくばまで、約58キロを最速45分で結ぶつくばエクスプレス。インターネットの一部では、「爆速」とも呼ばれる高速運行の背景を、鈴川絢子さんとともに探りました

 TX―2000系の車両が入ってきました。赤のラインカラーが映えて格好いいです。車体は高速化のため軽量のアルミニウムが使われているんですね。早速乗り込みましょう。

 《広報課の長岡淳一さん(49)=3月の取材当時。現在は総合指令所運輸指令副所長= TXは、3割が地下区間、7割が高架区間で、事故の要因となり得る踏切が一つも存在しない路線です。完全立体交差化により高速走行を実現しています。また、20の駅すべてにホームドアがあり、安全に配慮した設計になっています。》

 最高速度は時速130キロだそうですね。

最高速度は130キロ 長さ18キロで1本のロングレールも

 《長岡さん はい。全線に新幹線と同じ1メートルあたり重さ60キロのレールを採用し、高速でも安定した走行ができます。TXは継ぎ目のないロングレール(200メートル以上)を主に敷設し、最長は守谷―つくば間の18・2キロになります。》

 へええ。すごい。(一般的な)レールは約25メートルですが、溶接によって継ぎ合わせているのですね。レールの継ぎ目で鳴る「ガタンゴトン」もない。

 《長岡さん 昔懐かしいガタンゴトンのレール音は消えてしまいましたけれど、振動や騒音を低減し、乗り心地が向上しています。》

 (八潮駅をすぎ、直線区間が増えて列車は130キロ近い速度に)いいですねー、気持ちのいい加速。

 《長岡さん ATO(自動列車運転装置)により走行しています。1編成(6両)に対してモーター車が4両あるので加速も良く、トップスピードまであっという間なんです。》

 ホームドアも2005年の開業時から全駅に設置されているんですよね。

 《長岡さん 快速列車が駅を通過しているときの風圧や雨や雪、強風などが意外とホームドアに負荷をかけてしまうんです。設備寿命が短くなったり、故障がまれに発生したりするんですけど、施設係員がきめ細かにメンテナンスを行い、安全に管理しています。ホームドアはTXには欠かせません。》

 秋葉原駅の地下区間から一度、高架を走り、また地下へ、と高速走行のアップダウンがすごいですね。

 《長岡さん 鉄道では、35パーミル(1キロ走ると標高が35メートル上がるか下がる傾斜)で結構急坂ですね、と言われますが、TXは35パーミルの最急勾配区間が6カ所あります。》

直流電源と交流電源 どちらでも走れます

 TXは、直流電源と交流電源の両方で走る路線ですね。

 《長岡さん 下りは守谷駅を出発すると、間もなく交直を切り替える場所になります。つくば駅の北東約18キロに、気象庁の地磁気観測所があり、ここの観測に影響を及ぼさないよう守谷駅以北では、交直流車を走らせています。》

 運転台には今、「直」のランプがついています。電気が流れていない区間を惰行で走る間に切り替わるんですね。あ、「交」に変わりました! すごくスムーズです。昔の電車では、車内の室内灯が一回消えるなど、明らかに分かったんですけれど。

鈴川さんはこの後、東京ドーム4個分もの広さがある総合基地をたずね、車両の検査などについて聞きました。

 《長岡さん 交直切り替えの…

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