私はここで医師国家試験不合格を知った 石碑「閲覧之地」、誰がなぜ
伊藤恵里奈
「松井元哉 第113回医師国家試験不合格発表閲覧之(の)地」
黒地に白い文字でくっきりと刻まれたその石碑は、岩手県一関市郊外、北上川沿いの草むらにひっそりと鎮座していた。
「史跡」として登録、ネットで驚きの声
JR大船渡線・陸中門崎駅から2キロほど離れた、人家がない場所だ。石碑の高さは1メートルほど。本来なら誰も気づかないだろう。だが、今年3月、インターネット地図「グーグルマップ」に「史跡」として登録されると、偶然それを目にした人たちから驚きの声があがった。
「どういうことですな」「こんな場所、日本全国さがしてもここしかありません」。地図上の口コミには様々な声が書き込まれた。
第113回医師国家試験は、2019年2月に実施された。
この石碑に刻まれた松井元哉さんは、何者なのか? 無事に医師国家試験に合格できたのか? そもそも誰が、なぜ、こんな石碑を建てようと思ったのか。
記者はインターネット上を探して、同姓同名の人物を発見。連絡をとってみた。
今年6月初旬、「石碑に興味を持っていただき、ありがとうございます」と返信がきた。
松井さん本人だった。
仕事帰りの本人が現れた
6月下旬、大阪市内の取材待…