「健康保険証残して」66% 山口県保険医協会が高齢者施設調査

大室一也
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 マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」をめぐるトラブルが全国で相次ぐなか、山口県保険医協会は28日、高齢者施設を対象にしたアンケート結果を発表した。政府は来秋、健康保険証を原則廃止する方針だが、廃止反対が66・3%を占め、賛成は3・2%にとどまった。

 アンケートは5月末~6月中旬、特別養護老人ホーム老人保健施設など454の高齢者施設に郵送、187施設から回答を得た。

 施設入所者や利用者には自分でマイナンバーカードを申請するのが困難な人が多く、国は申請困難者に対する支援を求めているが、90・9%の施設が「対応できない」と回答。理由を複数挙げてもらったところ、「本人の意思確認ができない」(77・6%)、「手間・労力がかかり対応できない」(71・2%)などが多かった。

 入所者や利用者の健康保険証については、89・3%が「(施設で)管理している」と答えた。一方、マイナンバーカードは90・9%が「管理できない」と回答。「カード・暗証番号の紛失時の責任が重い」(85・9%)、「不正利用、情報漏洩(ろうえい)への懸念」(67・1%)などを理由に挙げた(複数回答)。

 また、6月中~下旬、会員の医師らが働く1024医療機関へのアンケートもファクスで実施、179機関から回答があった。オンライン資格確認システムを導入した機関の63・9%がトラブルがあったと回答。「保険者情報が正しく反映されていなかった」(58・7%)、「カードリーダーやパソコンの不具合でマイナ保険証を読み取れなかった」(53・3%)といった内容だった(複数回答)。

 阿部政則会長は県庁での発表会見で「急ぐことはない。健康保険証は従来通り残すべきだ」と訴えた。

 県デジタル政策課によると、県内19市町からカード利用についてトラブルの報告はないという。一方、一部の自治体で返納する住民は増えており、山口市では不安を感じた人などが、4月で1人、5月で3人、6月は23日までに6人がカードを返納した。

 防府市の池田豊市長は28日の定例会見で、現時点で返納した市民はおらず、今後も普及に努めるとした上で、「国で責任を持ち、トラブルがないようにしていただきたい」と話した。(大室一也)

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