東本願寺、洋館の2世帯住宅など17棟が重文に 鉄筋コンクリ最初期

日比野容子

 国の文化審議会で、真宗大谷派の本山・東本願寺京都市下京区)の洋館などの建造物計17棟が、意匠的に優秀で歴史的価値が高いとして、国の重要文化財に指定される見通しになった。東本願寺にはすでに阿弥陀堂など6棟の重文があるが、今回指定されれば境内にある歴史的建造物の大部分が重文になる。

 府教委文化財保護課によると、対象となる建造物のうち、「洋館」「日本館」「鶴の間」は1923(大正12)年に宗主と次期宗主らの2世帯住宅として建てられた。京都大学時計台などを手がけた建築家武田五一(1872~1938)の設計だ。

 特に洋館は、19世紀末にドイツ圏で流行した分離派の影響を受け、実用性を重んじて装飾を排したシンプルな意匠が特徴的だ。こうした建築の多くは関東大震災で失われ、現存例は珍しい。東本願寺は幕末の「蛤御門の変」(1864年)の際の大火(どんどん焼け)で焼失しており、耐火性を重視して建てられた国内でも最初期の鉄筋コンクリート造住宅だという。

 ほかには、宗主と門徒が対面する場となる「大玄関及び大寝殿」、応接室の「白書院」「黒書院」、茶室の「桜下亭」なども重文になる見通し。

 府内の重文建造物はこれで645棟。国宝と合わせた718棟は全国最多となる。(日比野容子)…

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