厚いグラスで飲んだ緑茶は甘い?苦い? 舌だけではない味覚の複雑さ

有料記事

佐々木凌

 グラスの厚さが変わると、飲み物の味が変わる――。中央大の有賀敦紀教授(認知心理学)らの研究チームがそんな研究結果を発表した。

 飲食店にとっては、飲み物に合わせてグラスを変えることで客の満足度が高まるかもしれない。

 研究のきっかけは、居酒屋での会話だ。

 同僚の松下光司教授と飲みに行った時に「ビールってグラスが薄い方がおいしく感じる気がしない?」という話で盛り上がった。

 視覚の影響なのか。でも飲む瞬間には飲み口は視界に入らないはず……。共同研究で確かめることにした。

 実験で使う飲み物は、ビールではなく緑茶を選んだ。子どもを含めより広い世代で飲まれていて、甘みと苦みも両方感じる複雑な味をしているからだ。

 実験には学生ら56人が参加。同じ形で飲み口の厚みが異なる二つの特注グラス(2・8ミリと1・2ミリ)に、それぞれ市販のペットボトルの常温の緑茶を入れ、目隠しをしたまま飲んでもらった。その後、「甘み」「苦み」「酸味」「まろやかさ」「こく」「清涼感」「おいしさ」の7項目について、1~7点で評価してもらった。

 その結果、厚いグラスの緑茶はより甘く、薄いグラスの緑茶はより苦く感じやすかったという。この二つの項目以外の5項目は、はっきりとしなかった。

 なぜ、飲み口の厚さが味覚に影響したと考えられるのか。

 今回の実験では理由は調べていないが、有賀さんは「プライミング効果」ではないかと考えている。心理学の用語で、先行する刺激の処理が後の刺激の処理に影響を与えることを指す。

 有賀さんによると人は、別個…

この記事は有料記事です。残り580文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
佐々木凌
科学みらい部|宇宙担当
専門・関心分野
宇宙、原発・エネルギー、災害・防災
新聞の親子読み 記事一覧はこちら

新聞の親子読み 記事一覧はこちら

朝日小学生新聞から、あわせて読んでほしい記事をお届けします。[もっと見る]