ヤジ排除訴訟、二審も北海道に賠償命令 原告1人の請求は棄却

石垣明真

 2019年夏の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民2人が「警察官に排除され、憲法が保障する表現の自由を侵害された」などとして、北海道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、札幌高裁であった。大竹優子裁判長は、1人について表現の自由などの侵害を認め、道に55万円の賠償を命じた。もう1人については、警察官の行為は適法だったとし、請求を棄却した。

 22年3月の一審・札幌地裁判決は、2人について表現の自由などの侵害を認め、計88万円の賠償を命じていた。

 一審判決によると、原告の2人は19年7月15日、JR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍氏に対して「安倍やめろ」「増税反対」などとヤジを飛ばし、警察官に肩や腕をつかまれて移動させられたり、長時間付きまとわれたりした。

 一審判決は、大半の行為について、生命や身体に具体的な危険が差し迫っていたとはいえないと判断。急を要する場合に関係者を避難させたり、制止したりできると定める警察官職務執行法の適用要件を満たしていないとし、警察官の行為は違法だと認定した。

 その上で、ヤジの内容は公共的・政治的事項に関する表現行為だと判断し、警察官らの行為によって「原告らの表現の自由が侵害された」と認めた。

 道側は控訴し、新たに提出した動画などから、聴衆との間で暴行や傷害、雑踏事故に発展する危険性が認められたなどと主張していた。(石垣明真)…

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