「ジェンダー平等」進めるインドネシアの王 天皇陛下へ伝えたい感謝

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聞き手・半田尚子
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 天皇陛下がインドネシアのジャワ島中部、ジョクジャカルタを訪問します。ジョクジャカルタは「インドネシアの京都」とも呼ばれる古都で、現地には「王(スルタン)」がいます。

 太平洋戦争に敗れた日本の撤退後のオランダとの独立戦争で、王宮がインドネシア側についた功績で、政府から世襲のスルタンがジョクジャカルタ特別州知事を兼務する特権を得ています。

 ハメンクブウォノ10世 1946年、ハメンクブウォノ9世の長男として生まれる。ガジャマダ大学法学部を卒業。現地メディアによると、砂糖生産会社での勤務を経て、1989年に父親の死去に伴い、スルタンに即位した。父親がインドネシア副大統領を務めていたことで、ジョクジャカルタ特別州知事には別の人物が就いていたが、1998年からスルタンと知事を兼ねるようになった。1982~2012年までゴルカル党員だった。

生まれてから生じている義務

 21日に陛下を迎えた晩餐(ばんさん)会を開いたハメンクブウォノ10世(77)が朝日新聞のインタビューに応じました。

 ――ジョクジャカルタと日本との関係について教えてください。

 ジョクジャカルタ特別州は京都府山梨県との友好関係があり、現在も続いています。ジョクジャカルタが自然災害に見舞われた際は、日本からの訪問を受けました。

 ――天皇陛下に伝えたいことはありますか?

 感謝を伝えたいです。これまで国際協力機構(JICA)に何度も援助をお願いしましたが、決して拒否されませんでした。最近では、新ジョクジャカルタ国際空港の周辺地域開発の支援を受けています。

 ――スリ・スルタン(敬意を込めたハメンクブウォノ10世の呼び名)は王であると同時に、ジョクジャカルタ特別州知事を兼ねています。世界的にも珍しい立場だと思いますが、仕事にあたり、どんな難しさがありますか?

 私はインドネシアが国として存在する以前から続く、この王宮の象徴です。

 リーダーは「自分には何の力もない」という感覚を持たなければならないと思います。権力は地域のために捧げるという気持ちを持たなければならない。私は社会に奉仕し、誠意を尽くさなければなりません。これは私がこの世に生を受けた時から生じている義務です。

 政治においては、自分の支持者の利益だけを優先するのではなく、全体の利益を優先しなければなりません。自分の中に存在する利害に支配されてはいけません。

「西洋は我々の支配者ではない」

 ――インドネシアでは来年…

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この記事を書いた人
半田尚子
編集局
専門・関心分野
東南アジア、グローバルサウス、平和