「AIの作った曲、賞与えない」  グラミー賞、新たなルール発表

牛尾梓

 米国の音楽界の祭典「グラミー賞」を主催するレコーディング・アカデミーは16日、「人間のクリエーター(創作者)のみ受賞資格がある」として、AI(人工知能)だけで作った楽曲には、いかなる賞も与えないとする新たなルールを発表した。

 新しいルールによると、「人間の著作が含まれない作品は、どのカテゴリーにも該当しない」とし、人間がアルバムの少なくとも20%以上に関わった場合に限って、受賞候補に推薦される資格があるとした。

 これまでのルールでは、アルバムのプロデューサーやシンガー・ソングライターなどであれば、曲づくりへの関与の度合いにかかわらず、最優秀アルバム賞の候補に推薦されることができた。

 米紙ワシントン・ポストは、新たな制限は、人気アーティストの声や曲調を「生成AI」を使って模倣した楽曲が「音楽業界に混乱をもたらしているためだ」と指摘している。

 たとえば動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で今年4月、いずれもカナダ出身の、ラッパー「ドレイク」とミュージシャン「ザ・ウィークエンド」を合成したような楽曲が配信され、何百万回も再生されている。

 また、ビートルズのメンバーだったポール・マッカートニーさんが13日、故ジョン・レノンの残した音源をもとに「ビートルズ最後のレコード」として、AIを使って制作したと発表したことに対し、音楽業界から批判的な声も上がっている。

 生成AIを使った楽曲制作をめぐっては、著作権や知的財産権を侵害しているとして、米国で多くの問題が取りざたされている。(牛尾梓)…

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません