南海トラフ地震を想定、JR日豊線で避難訓練 乗客が協力して高台へ

平塚学
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 JR九州は14日、南海トラフ巨大地震を想定し、走行中の特急列車(4両編成)を使った乗客の避難誘導訓練をした。運転士1人で車掌がいないワンマン運転のケースとして、乗客が協力しながら高台まで避難する流れを確認した。

 日豊線の川南―高鍋駅間を走行中に震度6強の地震が起きた――という事態を想定。JRの職員のほか、警察官や高鍋町の職員、視覚障害者ら約80人が乗客役で参加した。

 高鍋駅を出発後の午後1時4分、緊急地震速報が列車内に流れると、大津波警報が発令されたと運転士が車内放送でアナウンス。列車は緊急停車した後、避難施設のそばまでゆっくりと走行した。

 運転士が乗客に協力を呼びかけると、乗客たちはドアから避難用のはしごやすべり台で下車。障害がある人たちを支えながら、階段で高台の避難所(標高16メートル)を目指した。地震発生から津波の到達まで20分とされるなか、13分程度で避難を完了した。

 視覚障害がある宮崎市の御手洗実さん(70)は「取り残される不安を感じたが、協力者がいて心強かった。実際はもっと混乱してあわてているのではないか」と振り返った。

 県によると、マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震が発生した場合、日向灘沿岸の13市町で震度7の揺れに襲われ、最大17メートルの津波が想定されている。

 日豊線は延岡市から宮崎市にかけて海岸線に並行して走っており、JR九州は沿線に高台や避難用の階段を計8カ所設置している。

 JR九州の中嶋敬介・宮崎支社長は「今後も訓練を重ねて意識を高め、運転士の練度も上げていきたい」と話した。(平塚学)

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