「特許非公開」25分野を政府指定へ 武器開発技術などの流出防止

有料記事岸田政権

冨名腰隆 目黒隆行

 政府は12日、経済安全保障推進法に基づき、高度な武器や原子力に関わる技術の特許を非公開にできる制度の対象となる25分野を有識者会議で示した。来春の運用開始を目指してさらに制度の詳細を詰めるが、軍事と民生の技術の線引きや非公開となった技術に対する補償など、課題も多い。

 対象となるのは、航空機がレーダーで捉えられにくくする「ステルス」技術や、固体燃料ロケットエンジン、使用済み核燃料の再処理技術など25分野。ミサイル誘導や、電磁力で弾を高速発射させる「レールガン」技術など、最新鋭の武器開発につながるものが多い。宇宙飛行体の結合・分離や、核兵器の開発にも使える爆発装置の技術なども含まれた。

 本来、特許は発明に対する公表と引き換えに、発明者に一定期間の独占権を与え、ライセンス収入などを可能にする制度で、発明の共有が次の技術革新を生むことも期待できる。

 だが、近年の安全保障リスクの高まりから、政府は4月、特定技術の流出を防止するための基本指針を閣議決定した。政府の保全審査により、特許出願を非公開にできる制度を来春にも導入する予定だ。

 現在、国内の特許出願は年間約30万件あり、特許庁が審査している。特定技術を非公開にするための審査は、内閣府に新たに設置する別部門が担う方針だ。国内で発明された特定技術を外国で出願することも原則禁じるという。

技術革新 停滞する懸念も

 ただし、先端技術の中には「…

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