伝えたかった「大丈夫?」胸に 24歳「猿まわしで手話」への挑戦

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石田貴子

 猿まわしのトレーナーとして関西を中心に活動する大場由佳さん(24)には、幼いころ、仲良しの姉妹がいた。

 ある日、公園で一緒に遊んでいると姉妹の一人がけがをした。「大丈夫だよ、痛いところはない?」。そんな言葉をかけたかったが、伝えられない。小学校では、手話通訳の先生を通じて会話していたから。姉妹は耳が聞こえなかった。

 あの日のもどかしさが、手話の世界へ踏み出すきっかけになった。

 その後、習い事で手話のできる先生に出会い、見よう見まねで手話を学んだ。

 動物が好きで進んだ農業高校では、地域の聞こえない子どもたちと動物が触れあう際に手話を使うと喜んでもらえた。

 劇場や路上で猿まわしを披露する「二助企画」(大阪市中央区)に就職し、トレーナーに。聞こえない人も楽しめるようにと、手話を採り入れた猿まわしに挑戦することにした。

【動画】手話を披露する猿まわしのトレーナーの大場由佳さんとお猿のあいちゃん=石田貴子撮影

猿まわしのトレーナーになった大場さんは、コンビを組んだニホンザルの「あいちゃん」に手話を教えることにします。手話は猿にとって簡単な取り組みではありませんでした。

「どこにもいない」手話する猿

 当初は大場さんが手話を交え…

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