「いずれまた、この地に人々が……」涙で「復活」祈る全員避難の地区

大月規義
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 福島県双葉町の浜野地区にある中野八幡神社で4日、地域の再生を願い、「復活」と刻まれた石碑の除幕式があった。補助金などは受けず、神社が受けた賠償金などを元手に、住民らが中心となってつくり上げた。

 海岸沿いにある浜野地区は、12年前の津波で地区の約50軒が被害に遭い、約20人が犠牲になった。東京電力福島第一原発事故の強制避難で、今も地区には誰も住んでいない。

 除幕式には約30人が集まった。石碑は横約3メートル、高さ約1・4メートルの黒御影石。裏面にはこんな文面がある。「何(いず)れまた、この地に人々が根を下ろすだろう。自然とともに生き生きと息づく姿を思い抱き、復活を願う記念碑をここに建立する」

 彫られた文字のもとを書いたのは、町の書家で埼玉県加須市に避難した渡部翠峰(すいほう)さん(80)だ。区長の高倉伊助さん(67)から3月に揮毫(きごう)を頼まれ、「書いている間、涙が止まらなかった」。

 除幕式の前日まで、高倉さんらは重機で石碑の周りを整えていた。津波で流された鳥居のほか、地区の家々の庭にあった岩を提供してもらい、飾った。「この岩はみんなが浜野地区に生きていた証しだ。休憩できる東屋も造ったので、避難先から訪ねてきてほしい」と話していた。大月規義

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