原発処理水放出 「非常に心配している」 フィジーの大臣
フィジーのティコドゥアドゥア内務移民相は3日、日本政府が今夏にも始める見通しの東京電力福島第一原発処理水の海洋放出計画について、「フィジーにいる我々は非常に心配している」と述べた。日本政府は国際原子力機関(IAEA)の調査団を招くなどして国際社会の理解を得ようとしているが、太平洋の島国にはまだ懸念の声が強い。
シンガポールで2日から開かれている「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)の会場で、朝日新聞の取材に答えた。
ティコドゥアドゥア氏はこの日、浜田靖一防衛相と同じ「海洋の安全保障秩序」に関するセッションに登壇。気候変動による海面上昇などにさらされる島国にとっては、地球環境問題が安全保障に直結している事情などを訴えた。
同セッションでは、会場の参加者が浜田防衛相に処理水の放出について質問。浜田氏は「IAEAにチェックしていただきながら、いろんな国々の科学者の方にも評価をいただきながら、安全性を確認したうえで、ご理解をいただきながら放出していきたい」と説明した。
これに対してティコドゥアドゥア氏は「もし日本が処理水は安全だと言うなら、なぜ自分のところにとどめておかないのか」と指摘。「もし海に放出すれば、いずれかの時点で南へと流れてくる。非常に懸念している」などと訴えた。
処理水をめぐっては、南太平洋の18の国・地域でつくる「太平洋諸島フォーラム」のプナ事務局長が5月27日、韓国での会議で「核汚染の潜在的な脅威がある」と強い懸念を示していた…