100人が語り、聞いた「沖縄の生活史」出版 戦後の暮らし細やかに

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渡辺丘

 100人が語り、100人が聞き取って、沖縄の人たちの人生をまとめた「沖縄の生活史」(みすず書房)が出版された。一人ひとりの戦後の暮らしが細やかにつづられ、800ページを超える一冊に。方言や語り口調を生かした文章からは、人々の息づかいまで聞こえてくるようだ。

 昨年5月15日の沖縄の日本復帰50年を前に、地元紙の沖縄タイムスが100人の聞き手を募集し、それぞれが両親や祖父母、親戚、友人らから語り手を選び、その生活史を聞き取った。聞き手が約1万字に編集した原稿は昨年、沖縄タイムスで85人分が連載された。

 書籍は、監修にあたった岸政彦・京都大教授(社会学)や、上間陽子・琉球大教授(教育学)らが聞き手を務めた未掲載分を含む100人分を紹介している。

 「あの時の東京はね、お店の正面に『沖縄者お断り』って書いてあったんだよ。野蛮人と言ってから」(84歳女性)

 「爆弾の破片とか、買いに来…

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    座安あきの
    (ジャーナリスト・コンサルタント)
    2023年6月9日11時33分 投稿
    【視点】

    動画の、しかもスピーディーに流れるコンテツがもてはやされるこの時代に、よくぞ活字に残すことにこだわってくれたと唸る、地元紙ならではの分厚い本土復帰50周年企画の一冊です。 紙面連載を毎回興味深く読んでいました。聞かれない限り、語り出す

    …続きを読む