日本から強制送還、新たな国で幸せつかんだ難民が入管法改正に思う
国会で審議されている入管難民法改正案は、難民申請中でも強制送還できるようになることが問題になっています。日本での難民認定はきわめて「狭き門」です。長年暮らした日本を追われ、ニュージーランドで成功した男性は法案に何を思うのでしょうか。
かつて暮らした埼玉県川口市を訪れたアハメット・カザンキランさん(67)の表情は、当時よりずっと穏やかだった。トルコ国籍のクルド人だが難民と認められず、日本から強制送還された。いまは難民として受け入れられたニュージーランドで、大きなレストランを経営している。
1990年代から日本で暮らしたが、最後は心も体もぼろぼろだった。
国連に難民と認められるも強制送還
トルコで少数民族クルド人の自治を求める運動をしたため、帰国すれば危険があるとして難民申請。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)にも難民として登録されたが、日本政府には認められず、在留資格もなかった。
川口市では妻や5人の子どもも一緒に暮らしていた。交通事故にも遭い、後遺症に苦しんだ。深いしわが刻まれた顔はいつも怒っていた。
トルコへの送還を迫られていたカザンキランさんは2004年の夏、東京都渋谷区の国連大学前で、別のクルド人家族と2カ月余り、座り込みの抗議活動をした。その翌年1月、20歳だった長男と2人だけ入管に収容され、すぐに送還された。家族は引き離された。
ニュージーランドで一軒家を与えられ
カザンキランさんによると、トルコに着くと警察から6時間近くの取り調べを受けた。故郷に戻っても公安関係者から常に見張られていたという。「何をされるか分からず、怖かった」。2カ月後、日本人支援者らの協力でフィリピンに渡り、UNHCRの調整でニュージーランドに受け入れられた。
ニュージーランドでは「全く…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら