野党の「昭和戦術」はダメなのか 識者「そうせざるを得ない仕組み」
防衛費増額の財源を裏付ける財源確保法案が23日、衆院を通過した。立憲民主党は「この法案では安定財源を確保できない」として財務相の不信任決議案を提出するなど、抵抗を続けてきたが、日本維新の会などは「昭和のやり方だ」と批判。野党分断を浮き彫りにした。
そもそも「昭和のやり方」は批判されるべきなのか。「『野党』論 何のためにあるのか」などの著書がある、政治学者の吉田徹・同志社大教授に聞いた。
――立憲が法案の採決日程を遅らせたことを、維新などが批判しています。
国会での慣行の多くは、自民党と社会党が対峙(たいじ)した昭和の「55年体制」の下で生まれた。その一つが、与党による法案の事前審査制度だ。政府は法案を国会提出する前に、自民党と細かく内容を調整して承認を得る。そのため、国会審議では、野党は法案をほぼ修正できない。自分たちが法案に強く反対していることをアピールするには、今回のような日程闘争に出るしかない。こうした慣行がいまだに続いているという意味では、確かに「昭和」だ。
ただ、野党は少数派の民意を議席として反映し、議会制民主主義に対する信頼感を生む存在だ。政府・与党の法案に異議を申し立て、その問題を国民に知らしめるという意味では、今回の立憲の動きは野党本来の役割を果たしているとも言える。
――なのに、なぜ批判されるのでしょうか。
いまの日本は、「果実の分配…
- 【視点】
野党は何のためにあるのか。野党取材を担当していて日々、突きつけられる問いを考えるうえで、示唆に富む内容がたくさんあるインタビューです。 今回の立憲の対応を主導した安住淳・国会対策委員長は昨年8月の就任時、党の置かれた現状を「徳俵に足が
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