ゼレンスキー氏、批判めいた言葉で演説 アラブ首脳たちの反応は

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カイロ=武石英史郎

 サウジアラビアで19日に開かれたアラブ連盟(21カ国・1機構)の首脳会議で、ウクライナのゼレンスキー大統領が演説した。侵攻したロシアと侵略されたウクライナの間で、立場を鮮明にしてこなかったアラブの首脳たちを前に、何を訴えたのか。アラブ側はどう応えたのか――。

 「残念ながら、皆さんの中にも(ロシアによる)不法な占領や収容所に目をつむる人たちがいる」

 居並ぶアラブの首脳たちを前に、ゼレンスキー氏は批判めいた言葉をあえて使った。

 「ロシアがどんなに影響力を行使しようとも、誰もが公平な目を持てるようにするため、私はここにいる」。ロシアによる侵略の実態を直視し、ロシア批判の側に立つよう迫った。

 そして、こう訴えかけた。

 「侵略者に自国の3分の1を譲り渡すことに賛成する人は、この中に誰もいないはずだ」

 「何万人もの子供たちが連れ去られ、祖国を憎むように教育されるのを座視する人は、この中に誰もいないはずだ」

 さらに、シリア、イエメン、スーダン、ソマリアなど戦乱が続くアラブ圏の国々を列挙した。そして、同じく戦火が続くウクライナの現状にも思いを寄せるよう呼びかけた。

 また、ロシアが2014年に一方的に併合を宣言したクリミア半島のイスラム系民族クリミア・タタールの指導者を同行していることに言及。「占領下で抑圧にさらされているのはイスラム教徒だ」と、同じイスラム教徒の首脳らに強調した。

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 演説の後、首脳たちからは拍手が起きた。

 ただ、米議会や欧州連合(E…

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この記事を書いた人
武石英史郎
アジア総局長|東南アジア・南アジア・太平洋担当
専門・関心分野
アジア、グローバルサウス
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