第9回九州新幹線開通の「危機感」から生まれたくまモン 遊び心も忘れず

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ななつ星の経営論 ~生みの親が語る人と街~

超豪華な寝台列車「ななつ星」を世に出し、JR九州を上場させた元社長・会長の唐池恒二さんがビジネスの秘訣(ひけつ)を語ります。処世訓やネーミング論など独自に編み出した法則をユーモアたっぷりに解説します。

 ゆるキャラブームは落ち着きを見せていますが、くまモンは今もひとり気を吐いています。特に中国人に人気で、商品に写真を添えると売れ行きが飛躍的に伸びるそうです。

 このくまモン、実は2011年3月12日に全線開業した九州新幹線がきっかけで誕生しました。開業前、熊本県は「熊本駅が通過駅になってしまわないか」と心配し、観光客を誘致する活動の中から生まれたのです。くまモンの公式ホームページで誕生日は「3月12日(九州新幹線開業の日)」となっています。

 全線開業は、沿線が待ち焦がれた大プロジェクトでもありました。私が社長になったのが09年6月で、当時から準備が本格化していました。

東日本大震災で式典をすべて中止

 試運転用の列車を走らせてテ…

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